4 THE FUTURE






2017年12月1日、駒沢に店を開けて以来、自分の店はずっと続く。続ける。という気持ちでやってきた。当然終わらせる気はないけど、いつまで続くか分からん。という状況と常に背中合わせでもあった、特に移転後、ここ2年。



皆それぞれに色々な状況の変化の中、自分の店を見つけてくれて、出会ってくれて、本当にありがとうございます。家が近い遠い、都内地方、関係なく現場に足を運んでもらっては顔を合わせてきた友人とも言える仲間の皆に多大なる感謝。皆がいたから今があります。




でも、今、自分が追い求めるスタイルと固定費の圧倒的不一致を日を追うごとに感じながらの自転車操業。立ち漕ぎ全速フルスイングでも並行か落ちるかの瀬戸際。身分不相応な家賃を払い続ける中で、まず今年いっぱい、と思い試行錯誤し自身の成り行きを見守ってきたが、こだわり故か、若さ故か、今は分からないが譲れない部分も少なくはなく。



TOKYO DANCE.店舗を9月30日に閉店します。





住宅街、人通りがない、古いマンション、1階路面、40㎡以上、、、

自分の理想に限りなく近い立地とハコ、様々な条件の合致した目黒区八雲に店を構えて2年。ああしたいこうしたいこうなりたいと理想に向かって日々仕入れ並べ表現できた事が本当に楽しかった。






店は駒沢から八雲へ移り大きく様変わりした。自分の中で「カッコイイ」と思う店になっていくほど来客は限られていった。ありゃ。どうやら駒沢時代のお客さんにとって今のスタイルがお呼びでない事も重々に理解していた。サーーーッと音が聞こえるくらい引いていってる事を気付いていた。以下にも散々記述するが、その分、変わらず通ってくれる人たちも含めグッドバイブスな出会いが増えた事は言うまでもない。





そうやって状況が苦しくても大衆に迎合した売れ線シフトはしない、サスティナブルだSDGsだと都合の良い言葉を売るプロモーションはする訳ない、商業や商業ベースの人間とは絶対に関わりを持たない、DMで届くコピー&ペーストの出店の誘いは乗らない、とか、、今となっては負け犬の遠吠えかな、一応自分なりに貫いて2年やって、一切後悔はない。澄み切っている。そこは誇らしい。





何の学もない、後ろ盾もない、ボンボンでも親の七光でもない僕が、たけぇ初期費用たけぇ家賃払って2年間は耐えた。よくやった方だと思う。が、そんなパンピーの無謀な挑戦も一旦終了。人生色々紆余曲折山あり谷あり移ろい変わるシーンの一幕が終演。次の形態に、良く言えば次のフェーズに、進みます。





目を潤わせ通い静かに熱く楽しみ購入という形で応え続けてくれた方たちには、場を継続出来なかった事、本当に申し訳ないですが、同時に感謝の気持ちでいっぱいです。今顔を思い浮かべる事のできる人たちは、どこでもいつでも来てくれる事を知ってる。また会える。分かってる。先日のSPIRIT展でも証明されていた。本当にありがたいっす。







開業当初は当然、有名になってやろう稼いでやろう1発かましてやろうみたいな欲とか反骨精神を持って始めた。いつからか、楽しむ、とにかく楽しむ、という方へ舵が切られていた。もちろん楽しみながら、笑い合いながら、根っこの所で中指を振りかざしつつ。

心のどこかでまだ売れたいとか知られたいって気持ちが見え隠れする事も自覚してる。じゃぁ何がそれを宥め柔らかな気持ちでいさせてくれるかって、1人、また1人と来てくれる大切なお客さんたち。穴が開くほど見入ってくれる。理解してくれる。楽しんでくれる。あぁ、この人たちに伝わっていれば、自分が集めたモノが届いていれば十分に満たされている。それ以上望まなくて良いなと、思わされる。大切な人たちが落としてくれたお金で不自由ない程度に暮らしていく。それが良い。





写真を撮りに来る人もほとんどいない。日々気持ち良く店に立って話して充実した時間を過ごせた。店舗目線で言わせてもらうなら、良いお客さんを育ててこれたなと思う。何よりの財産です。本当に感謝しています 。そんな人たちのおかげで、この先もまだあると信じていられます。







4月頃から、店に来てくれる人をまず優先に、出来る限り顔を合わせて報告したい人に閉店の意向、伝えてました。ここまでの間、変な話の広がり方とか一切なかった。皆がそれぞれ心に留めていてくれたんだと感じました。ありがとうございます。ここで知る事になった方は行き渡らず申し訳ないです。







子供も生まれたってのに苦しい時間が続いていた。それでも、いつも隣で我慢強く前向きに寛容に支えてくれた嫁ハンには感謝してもしきれない。恩と借りの山は高みを増すばかりで一向に頂が見えないが、ここからまた頑張ろうと思う。本当にありがとう。すまん。

我が子の存在も偉大。間もなく1歳。なんのこっちゃ分かってないと思うが、生きる活力。サンキュー息子。と3歳半の猫、ボス。笑いと癒しをありがとう。








店を始めてトータル5年9ヶ月。ちょっと古物で食えた気になって、そんで今、店を閉じますという状況。やっとちょっとは古道具屋らしくなってきたかなと思うけど、本当に一生古物商で食ってく覚悟はあんのか?口だけか?格好だけか?と、試されてる気がする局面。

自分のような小さな個人店は、「あーあの店なくなったねー。」って変わりゆく街の景色の流れの1つでしかない事は自覚している。当然悔しい、悲しい、苛立たしい、そんな気持ちがないはずない。でも数人の、数十人の、近くにいて心から楽しんでくれる仲間たちには、嘘であってほしいとか、良い店なのにとか言ってもらって、残念がってもらったり、ホント嬉しいっす。




あえなく散ったけど倒れちゃいない。まだ立ってる。古物稼業で食ってくってのは変わらない。より自分のやりたい事に焦点当てて、自分にしか出来ないスタイルで古物の収集に引き続き没頭し自分にしか出来ない見せ方や話し方で伝えていく所存。日々の隙間で大いにふざけて目一杯遊んでいく所存。何卒よろしくです。






隣の隣、4.は継続です。店がない事で生まれる潤沢なヒマ時間を活用して少し遠方にも足を伸ばしてみたり、と考え中。ゆっくり見て話して買い付けた古いモノを、4.で時々並べたいと思ってます。展示も変わらず企画していきます。







閉店まで2ヶ月弱。9月は特に、定休日とか関係なく出来るだけ開けようと思うので、タイミング合う方は是非遊びに来てください。え、閉まっちゃうなら行っとくか、の動機も歓迎。このブログ見てる人で未達の方はあまりいない気もするけど。毎日来てもらっても問題なし。爆買いちょい買い大歓迎。世間話だけでもモーマンタイ。


ラスト、遊びましょう。








この決断に至るまで、至ってからもだけど、様々な助言や心遣いを頂いた諸先輩方、お客さん、友人、家族に感謝します。








2023年8月8日

八雲より、末広がりな日に。



TOKYO DANCE.

土居 健















Aug 8, 2023




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